トリガーをロックします。
まえがき
どうも、書い人(かいと)です。
PSYCHO-PASSシリーズはシリーズ1、2、劇場版、3系を視聴した程度です(3以降はちょっと追いかけきれてないです)。
なんとなくこのシリーズの二次創作を書きたいなあ、と思っていたのですが、アイデア・ネタや整合性の取れそうなお話が作れず、頓挫(とんざ)しておりました。
短編でなら書けそうかも? と思えたので、サクッと書きました。
用語に説明を入れなかったので、完全に新規の方は(アマゾン)プライムビデオかどこかで、シリーズの1話だけでも見れば、だいたい意味がわかります。
まー、Wikipedia系を見ても分かるかもですが。
通しで第一作目(一期。全22話)を視聴すればより良いか、とも。
間違いなく、傑作アニメですよ!
アニメなどには、グロテスクなシーンはあるので、苦手な方は注意(私の二次創作小説にはありません)。
よろしくお願いします!!
本編
僕の名前は神原 零(かみはら ぜろ)。
僕は生まれたときから、感情というものが理解できなかった。他の生き物の泣く、怒る、笑う――それら全てがどうにも認識できなかった。
初期のネットワーク史では、感情を知らないフリをした中学生が『感情が無くて悲しくなる』などと書き込んで、盛大にネタにされ、馬鹿にされたらしい。
まあ、僕も馬鹿にされないようには、気を付けよう。
ただ、本当に負の感情も含め、心が常に無風のためか、サイマティックスキャンによる色相(しきそう)判定は、『クリアホワイト』しか取ったことがない。
少しだけ、気になったんだ。僕の心が、濁(にご)ることはあるのか、と。
試しに僕は、街頭スキャナーの前で、思いつく限り悪辣(あくらつ)な言葉を思い浮かべてみた。
物騒な表現に関しては、特に規制の激しくなった昨今だが、国語の辞書や学術的な百科事典――特に、紙媒体――では、そういう表現や考えに規制の歴史を含め、踏まえて案外載っているものだった。
通っていた学校に居た、時代遅れが一周回って新しくなっていた系の国語教師が言っていた、「紙の本を読みなよ」とはよく言ったものだ。
五分、一〇分が経過しても、エリアストレス上昇の警報が鳴ることはなかった。
言葉数(ボキャブラリー)が尽き、飽きたので、僕は家に帰ることにした。
次に試してみたのは、漫画を書くことだった。
これでも僕は、プロの漫画家志望なんだ。
簡単なストーリー漫画を描いて、自分のブログにアップロードした。
ストーリーの内容は、生まれつき善悪を理解しない人間が、一切を悪いことだと思わずに悪事を為す、というものだった。
本人に邪悪な心がないので、スキャンにも反映されず、ドミネーターが示した犯罪係数は、ゼロ。
これから、いくらでも悪いことをしていくぞー、という……我ながら、盲点の発想だったようには思う。
――子供の発想と言い換えてもいいのだが。
暴力的な内容には踏み込むと規制されそうなので描かなかったし、反応もまばらだったのだが、書き終えて二日ほど経ったかしたあたりで、僕はブログに一切ログインできず、そのブログも消されていた。
論理的には、憤慨した。怒り……ではなかったが、まあ確かに納得のいかない話ではある。
行政からこの自体について連絡があった。
事情により削除、とだけあった。
詳しい事情を知りたい場合は公安局へ……とのことだった。
なんとなく、怪しいんだよね。あの行政機関。治安の維持を目的とする機関(そのはず)だから、正直、悪い組織であるはずがない、とは思いたいんだけど。
まあ、犯罪に関する内容だしな。一応は。
僕は無言で、海外サーバーのブログサービスにログインし、微妙に高い料金を支払って新ブログを開設した。
我ながら、アナーキーな活動だとは思ったが、常に色相・クリアホワイトな自分が大問題になるだろうとは、正直なところ、一切思わなかった。
悪だというのなら、僕の犯罪係数が上がればいい。
日常的に街頭スキャナーに映ったりや、定期的なメンタルチェック(ケアの内容も興味本位で知っていたが、どう考えても自分には無縁だった)を受診したりしているので、なにか、特に精神面で問題が起こればすぐに『実験』を取りやめるつもりだった。
さて、僕の犯罪係数は0のままだった。
なぜ精密な自分の犯罪係数がわかったかというと、公安局刑事課からドミネーター拳銃を向けられ、任意同行を求められたからだった。
まあ、悪い方向には向かわないだろう。
僕は、漫画を書きたいだけなんだから。
あとがき
ワン・アイデアなので、続きは書けないけど、もしかしたら色相の一切濁らない潜入特務調査員(シビュラ・PSYCHO-PASS世界での、ジェームズ・ボンドみたいな感じ?)な扱いの、二次創作小説や作品を書くかもしれません。
いや、完全に予定は未定ですねー。
零くん、扱いやすい立ち位置ではあるんですよね(他のキャラと独立して動くはずのポジションだから既存のキャラと競合せず、二次創作としては最適格のキャラかもしれない……)。
ありがとうございました!!